諸刃の剣

未だに絶えないファイル共有ソフトWinnyによる情報流出の被害。
官公庁や公的機関、一部上場企業であればこそ話題になるが、潜在的な利用者は未だに数多くいるとされている。筆者も以前は利用していたのでだいたいは分かるのだが、知らない人のために要約すると、Winnyとは「ネットワークに繋がった他人のPCを利用してデータ(ファイル)をダウンロードする」ソフトである。Winnyを起動すると、Winnyを起動している他のPCとリンクが張られていき、他のPCでアップされているファイルが見えるようになり、PCが増えれば増えるほどヴァーチャルの網は更に細かくなっていく・・・
我々IT技術者の人間に言わせれば、これはすごいプログラムといっても過言ではない。ただ、このファイル共有というのが実は法解釈的にもグレーゾーンと言える部分で、Winny網の上にはリッピングされたCD、DVDをはじめあらゆるデータが存在しているが、重要な点はそのデータのほとんどが著作権者が二次配布を認めていない著作物であることが問題であり、これらのファイルの共有が違法コピーに当たるということだ。
筆者の個人的な意見では、ソフトそのものには害はないと思っているが、上記のように利用する側が著作権法を違反しているケースで'03年最初の逮捕者が出てしまった。やがてWinnyの作者である金子勇氏も'04年に著作権法違反幇助の容疑で逮捕されたが、同年保釈された。しかし、逮捕時にマシンを押収された影響か、開発は現在も中断を余儀なくされている。
もちろんアメリカやヨーロッパ諸国にもこういったソフトは存在し、これまでにも係争の事例も数件あるが、ソフトの開発行為自体は罪には問われない、もしくは合法という判決も出ている。他にも以前取り上げた、ネット上の掲示板2ちゃんねる上での匿名の犯罪予告や誹謗中傷に対し、管理人であるひろゆき氏の責任が問われた件や、掲示板のキャラクターの使用を巡って社会問題にまで発展した件もあった。
誤解しがちなのはこれまでの一連の情報流出の原因は、Winny自体に問題があるのではなく、Winnyによって感染したウィルスに起因するものであり、これまで何度も同様の事象があったにも関わらず危険性の認識が希薄だったことに他ならない。
これらのソフトを利用するもしないも自己責任。便利ではあるが諸刃の剣であることを今一度喚起しておきたい。

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