狂った着地点

昨日、帰りのタクシーの中でノーマルヒル(K点:95m)の予選をぼんやりと眺めていた私は我が耳を疑った。予選ということもあり、選手達も小気味よく飛び出していく。家まであと2kmほどになった時日本勢の順番が来た。葛西、伊東、・・・やがて、予選を免除されるW杯上位者15人の順番が来て岡部も飛んだ。
「・・・、3人は予選通過です。・・・」
おや?ゼッケン2番の原田は実は彼らよりはるか前に既にジャンプを終えていた。そんな中画面から「残念ながら原田は失格です。・・・」のアナウンスが流れた。家に着いてPCを開いてみると、原因は原田が体重がカテゴリーの規定(61.0kg)より僅か(200g)に軽く、本来使用できるスキー板が2cm長すぎた(253cm)ということだった。
全盛期の'98年長野では'94年リレハンメル(ノルウェー)団体銀の雪辱を果たすべく挑み、見事にリベンジ。しかし、奇しくも日本勢が強さを見せ付けたその98年五輪後のルール改正により、使用する板の長さが身長・体重に応じた長さに制限され、体格の大きな欧州勢に有利に働くようになったのは皮肉という他ないが、20位に終わった'02年ソルトレイクシティ(米)についで自身5回目の五輪出場だった原田。素直に自分の自己管理ミスを認めてはいたが、内心では忸怩たる思いに違いない。ラージヒルでもう一度その姿を見たいのは筆者だけではないはずだ。
女子モーグルの上村、里谷も、それぞれ5位、15位と振るわず、日本勢初のメダルは以降に持ち越された。そしていよいよ筆者が今回メダルを期待する2人が登場する。成田童夢、今井メロの兄妹とくれば・・・そう、スノーボードハーフパイプである。
先日2人がテレビに出ていたのを偶然見ていた。意外と知られていないが、実は彼らは2人兄妹ではなく3兄弟である。童夢、夢露、そして緑夢(ぐりむ)。何とも凝った名前だが、大阪生まれの3人は父隆史氏の英才教育を受け、既に幼少の頃から名を馳せていた。
しかし昨年、童夢、夢露と相次いで父が主宰する「夢くらぶ」を独立。夢露に至っては親子の確執にまで発展してしまった結果、母方の姓である今井を名乗り、登録名も今井メロに変更した。ちなみにスノーボードが五輪の正式種目になったのは'98年の長野五輪からで今回で3大会目だが、これまでの最高は、前回ソルトレイクシティ大会での中井の5位、女子では三宅の8位が最高。今回は成田の他中井、国母など表彰台を狙える位置にいる。また、メロも日本人最年少(18歳3ヶ月)での表彰台がかかる。
まず1つ。遂に開幕したトリノ冬季五輪。これからの日本勢の活躍を大いに期待したい。

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