悪法もまた法なり

最近の明るい話題と言えばこれだろう。
いよいよ来年2月に行われるトリノ冬季五輪。その女子フィギュアスケートの代表として、年齢制限により出場資格がない浅田を出場させて欲しいとの嘆願要望が日本スケート連盟(JSF)に数多く寄せられている件だ。その浅田真央は現在15歳。しかし規定では「2005年7月1日までに15歳に達していること」が条件で、9月25日生まれの浅田は87日遅いため現段階では出場資格がないことに端を発している。
フィギュアスケートの代表枠は3、選考基準はポイント上位の3名だ。昨季終了時点では、村主章枝が700点、次いで安藤美姫が665点、恩田美栄が564点、荒川静香が560点、浅田真央501点、中野由加里が343点となっていたが、今年は、11月のフランス杯で浅田が優勝し、今月のNHK杯では中野が優勝。そして先週のグランプリ・ファイナルで浅田がSP、Freeともに1位の総合優勝を決め、あと1試合が残る今週の時点では、浅田1901点、安藤1865点、中野1643点、恩田が1564点、荒川が1560点、村主が1550点と今週の結果次第ではさらに順位が入れ替わる事態となった。
そして6人が揃って出場する全日本選手権。ここでもし浅田が優勝すれば、いよいよ持ってヒートアップするに違いない。
浅田を除けば安藤がトップだが、マスコミにもてはやされるようになってからというもの、演技に安定さを欠き、先週もFreeで4回転を出すと公言したものの逆に転倒3回で中野にも抜かれる4位止まり。右足を痛めた安藤よりもむしろ中野の方に勢いを感じる。
今や国民はおろか首相までもが同情しているこの問題。ISUのチンクアンタ会長でさえ、「個人的には浅田を見たい」と漏らしたほどだ。もちろん筆者もできることなら浅田真央に出て欲しい。なぜなら彼女が金メダルに一番近いと思うからだ。かつて、まだ年齢制限のなかった頃、当時15歳のタラ・リピンスキー(米)が出場した'98長野五輪で、ミシェル・クワンを破って優勝したが、金メダル獲得後あっさりとプロに転向を表明。踏み台として利用され、商業主義への迎合と揶揄された国際スケート連盟(ISU)はあっさりと特例を廃止することを決め、日本もそれに同意した。それが今回の遠因とも言えるのだが...
だがルールはルールであり、今回特例を認めれば今後同様のことが起こった場合、それを拒むことはできなくなり、ひいては年齢制限そのものが形骸化する恐れがあるからだ。JSF,JOCとしては世論に後押しされている形だが、今はまだ静観の構えを崩していない。
その他の選手達についてはまた別の機会に触れるとして、最後に筆者の地元からもショートトラック代表として、藤本貴大(山梨学院大)が選出されたことを付け加えておきたい。南国熊本から冬季五輪代表が選ばれるのは稀有なことだと思うが、彼の活躍にも期待だ。

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