先ほど、2012年夏季五輪の開催国がイギリスのロンドンに決定した。
シンガポールで行われていた最終選考では、モスクワ(露)、ニューヨーク(米)、マドリード(スペイン)、パリ(仏)、ロンドン(英)が争っていたが、順に敗れ決戦投票でロンドンがパリを破って1948年以来64年ぶりの開催となった。これに先立って各国関係者はシンガポール入りしていたのだが、当初有力視されていたフランスのシラク大統領は、他の開催国に対し、イギリスをBSE問題、アメリカをハンバーガーになぞらえて、「料理の不味い国はダメだ」と痛烈に皮肉った。しかしブレア首相は全く意に介さず、プレゼンテーションを見守ったと言う。
仮にも一国の指導者たる人間が軽々しく他国を批判するものではない。ましてや国際舞台ではなおさらだ。彼の発言が影響したかどうかは分からないが、選考する側も人間である。今頃は慎むべきだったと後悔しているのではないだろうか?
さてそのフランス、実は先月もう一つの一大プロジェクトの誘致に成功している。ITER(国際熱核融合実験炉)の建設候補地にフランスのカダラッシュが選ばれたのだ。計画には日、米、EU(欧州連合)、露、中、韓の六カ国が参画していたが、最後まで争っていたのがなんと日本で、その候補地は青森県六ヶ所村。日本の原子力研究の中枢とも呼べる場所である。
そもそも石油に代表される化石燃料はかねてから枯渇の危機が叫ばれており、その多くを輸入に頼る日本は、石油に代わるエネルギーの開発が急務だった。核分裂を利用した原子力には放射能による汚染の危険性があり、これまでも世界各地で事故を引き起こし多くの被害を出している。これに対して核融合を利用するこの方式は、専門家の間では比較的危険性は少ないといわれているが、まして世界で唯一の被爆国である日本が、今や核実験の主要ホスト国になっているとは、皮肉という他ない。
2005年7月7日 6:24
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