今年の漢字

広島、栃木、そして京都と。よくもまあこれだけ連鎖が続くものだ。
惨劇の舞台となった京進(大証2部)の株価は翌日ストップ安。今は多少持ち直したものの殺人事件が市場に影響するのは異例ではなかろうか。
さて、今年は11月8日に東証1部での売買株式数が過去最高に達し、盛況どころかバブルの様相を呈している日本市場でまたしても問題が起きた。先日のみずほ証券のジェイコム(株)誤発注問題である。
IPO(Initial Public Offering)の主幹事証券は日興シティグループで、事件を引き起こした当のみずほ証券は第3位の幹事証券。ジェイコムは東証マザーズにIPOで上場したばかりだったが、こともあろうに上場直後に売買停止となり、一躍有名になってしまった。
11月1日の東証システムダウンとは異なり、今回は明らかに人為的ミスでみずほ証券の担当者が61万円で1株売るところを、1円で61万株の売りを出してしまったのだ。筆者に言わせれば発行株数14,500株に対して610,000株の売り(結局は空売り)が出せること自体がおかしいのがまず一点。その後、東証側の担当者が電話でみずほ証券に確認し、オペレータはミスに気づき取り消しを行ったものの、東証のシステム側が受理せずそのまま執行。その際の取り消し条件をみずほ証券のオペレータが動揺し金額を訂正しなかったことが二点目。さらに、クリック1つで無条件に訂正できなかったのが三点目と、最後に東証側のシステムが執行取消を受理しなかったのが四点目だと考える。
責任で言えば、証券会社での担当者の発注ミスが最も大きい。なぜならこういった発注ミスは「日常茶飯事に行われている」とある関係者は答えていたが、担当者にしてみればおそらく毎日行う単調作業の1つであり、盲目的に行っているのが実情のようだ。
もちろんシステムにも問題はある。人間はミスをするものであり、ミスを未然に抑止するシステムを構築するのがシステム設計者の責務だと思うが、今回はみずほ証券側のシステムおよび東証のシステム双方に問題があると言えるだろう。
結局は日本証券クリアリング機構の決定により、みずほ証券は受渡日となる本日13日に現物株式を引き渡せない投資家に対して、912,000円の価格で強制現金決済をおこなうことで事態の収拾を図るようだ。みずほ証券の損害額は400億円を超えると言われているが、今後は取消しを受け付けなかった東証側に損害賠償請求を行うとも言われており、当然ながら東証の上場も先送り。まだまだ尾を引きそうである。
今年の漢字は「愛」になったようだが、果たしてこれでよかったのか?

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