二強の明暗

先日のF1第9戦アメリカGP。結果は出走6台中、入賞6台という結果となった。
しかもその6台はBRIDGESTONE製タイヤを履くチームで、意外なことにこれまで今季8戦して未勝利だったFerrariのM・シューマッハが優勝するというおまけつきである。そもそも他の14台(7チーム)はどうしたのか?その理由は、前日のQualify(予選)、Free(フリー走行時)で、MICHELIN製のタイヤを履くマシンが、周回中に軒並みトラブルを起こしたことに端を発している。タイヤサプライヤーである同社はこの結果を受け、ドライバーの身を最優先に考えた上で、シケインの増設を申請したそうだが、施行者であるFIA(国際自動車連盟)は、BRIDGESTONE勢に公平さを欠くとの理由で却下。その代わり高速コーナーに制限速度を設けるという案を出したがこれはMICHELIN側が受け入れなかったと言う。
これには今年からの規制(レギュレーション)の影響もある。1グランプリ1セット。すなわち1開催で1セットのタイヤしか使用できないというものだ。当然、決勝のスターティンググリッドで前列を得るためには予選で速いタイムを出す必要に迫られる。特にインディアナポリスのこのサーキットの形状は元々インディ500用のコースのため、複雑なコーナーなどのないオーバル(楕円)コース。他のテクニカルコースと異なり、平均時速も速くなる。当然タイヤは磨耗し、ブリスターが起こり、ひどいケースではバースト(破裂)しやすくなる場合もある。
MICHELIN社のタイヤの安全性に問題があるのが一番だが、このようなレースで観客が喜ぶはずもなく、早くも来年のアメリカでのF1開催自体が危ぶまれているほどだ。FIAはこの件に関して公聴会を開くとしているが、限界までの速さを求めるモータースポーツでの安全の考え方については疑問が残る。
ターボ(過吸気)が排除され、NA(自然吸気)になった時とは違い、タイヤまでも制限するのはいかがなものだろうか?しかしながら、同条件ながら今回のケースも問題としなかったBRIDGESTONEには快哉を送りたい。

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